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1回戦終了時
半荘2回の勝負で、初戦ラス。上田唯にとって、それはあまりに大きな負債だった。

上田
システム
最終戦の結果を経て、準決勝進出を決めるのは2人のみ。順位点が10-40(ウマ・オカ含む)というプリンセスリーグのルール上、上田に課せられたのはトップ条件。初戦トップの麻生は、よほど大きなラスを引かない限りは通過が確定的だ。また、初戦2着の水口が2戦目も2着だった場合は、上田がトップだったとしても素点差の条件も視野に入れなければならない。十分に勝算がある戦いとはいえ、決して楽な条件ではない。そんな窮地から始まった東1局――

t1
上田は会心の2000オールを決めて、軽快な先制攻撃を決めた。カンs5待ちで追いかけリーチを放ち、見事にツモりアガってみせた。

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とはいえ、これだけではまだまだ条件クリアには至らない。二の矢を放ちたい上田は、このp3 p6待ちをヤミテンに構える。プリンセスリーグはアガリ連荘であること、直前にp6が麻生から放たれていること、最終手出しがp5になってケアされやすいことなどを加味しての判断だろう。前巡に愚形リーチを放っている攻めっ気の強さがある一方、こういった冷静さも兼ね備えているのが上田の持ち味だ。

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次巡、s4s7をスライドしてリーチ!  s6も手出しであるため、リャンメンターツを嫌っているように見えるかもしれない。p5は赤と入れ替えているように見えるだろうか。

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直後、松嶋にもテンパイが入る。p5が上田の現物であるため、ここはヤミテンを選択。

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さらに、水口が追いかけリーチで応戦! こうなると――

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松嶋もダマっている理由が激減する! ツモ切りリーチで鉄火場に足を踏み入れていく。このめくり合いは――

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水口がp3をつかんで決着! そう、p3 p6待ちの上田に凱歌が――

「「ロン!」」

その発声は、一人ではなかった。

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手牌を倒していたのは、三軒リーチに囲まれていたはずの麻生だった。

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松嶋がリーチをかけた同巡、麻生はペンm3を引き入れ、ペンp3待ちのテンパイを入れていた。しかも三色・赤ドラの満貫手だ。2枚切れのz3をそっと河に置き、静かに機を伺っていたのである。

初戦トップの麻生としては、絶対に避けなければならないのは大きなラスだ。故にここではヤミテンを選択し、危険牌をつかんだら即撤退する心積りだった。初代プリンセスは、地雷原に囲まれたような局面でもいたって冷静だった。

上田が放った二の矢は、一歩届かず。だが、決して悲観すべき結果ではない。当確ランプが灯りつつある麻生は素点を稼ぎ、ライバルの水口は満貫放銃という結果に終わった。あとは麻生をまくることができれば、2位に滑り込むことができる。上田としては頭ハネされた瞬間に悲観されたかもしれないが、現状を確認して即座に気持ちを切り替えることができたはずだ。

t2
だが、水口もこのまま黙ってやられるわけがない。次局に一発ツモを成就させ、先ほどの満貫失点分を一気に回復させた。まだまだ予断は許されない。

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東3局、上田はチャンタ三色や国士を見据えつつ、m4から切り飛ばしていく。

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6巡目、麻生の赤ドラ含みの先制リーチが入った。できれば役ありのテンパイを取りたかっただろうが、すでにm4が3枚見え。さすがの麻生も、まさか予想はしていなかったのではないか。

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11巡目、上田が余りなしで国士無双テンパイを果たすなどとは。涼しい表情で無筋のs5を切り飛ばす上田。リーチ後一発目にツモ切ったp7の時点で戦慄が走ったことだろうが、このs5で各者の緊張は極限にまで達したことだろう。上田の待ち牌であるp9は、降り気味の松嶋が一枚抱えているのみ。役満成就のアラートがかき鳴らされる中――

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水口のもとへp9がやってきた。しかも、麻生と上田の共通安牌はゼロだ。さて、何を切るべきだろうか?

まず、上田の手は他家にはどのように見えるだろうか?

その押しっぷりから本手のテンパイ、もしくは手広い1シャンテンであることは間違いないだろう。中張牌を各色ともに捨てていることから、ホンイツであることも稀だ。また、5巡目のp4以降、p3手出し、p7ツモ切り、p4手出しという切り順になっている。p3手出しの際にp4を手元に残しているケースは考えにくく、このp4はトイツ落としと考えて良さそうだ。だがメンホンチートイツや三暗刻、四暗刻までは否定に至らない。また、チャンタ系の可能性も十分に残されている。そして国士無双の可能性も当然残っている。

上田がs5を切っているため、s2s8はスジ牌だ。だがs3であることから、s2は迂闊に切れない。s8は単騎かカンs8にのみ当たる。p7が4枚見えているため上の三色は否定されているが、そもそもこれは麻生にも通っていない牌だ。もちろん、まっすぐ前に出てp9を打つという選択肢だってある。生牌ではあるが、麻生のスジ牌だ。かくして水口の選択は――

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m3! 選んだのは、上田の安牌。縦形の手で前に出る可能性を残しつつ、麻生に打つ分には幾分マシという判断だろう。
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麻生の5200のアガリで、上田の国士無双は露と消えた。

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それでも、上田は淡々と次局に臨む。そのキャッツアイに、惑いは見られない。

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揺るぎない表情のまま淡々と本手を作り上げ――

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松嶋から電光石火の8000点を出アガった。

かくして迎えたオーラス、上田は麻生を1200点上回っており、この半荘のトップ目に立っていた。麻生はテンパイに向かわない可能性が高いため、このまま終われば通過ボーダーだ。

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ラス親の麻生は、このまま局が終われば準決勝進出を果たす。

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上田も通過ボーダー。松嶋と水口の条件達成を阻めば準決勝に勝ち進める。麻生が加点する可能性は低いとはいえ、緊急回避のためにアガる可能性もゼロではない。ということで配牌から降りるようなことはせず、一応のアガリは目指していった。

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松嶋は三倍満ツモか上田からの倍満直撃条件。赤牌2枚を駆使した三色手が早い巡目で仕上がれば、奇跡の直撃も可能か?

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水口には跳満ツモか、上田をトップから蹴落とすという2通りのルートがあった。1本場のため、1000点以上を直撃でOK。この配牌から目指すべきルートは……。

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6巡目、ドラを重ねた水口。リーチしてからのツモ裏条件が現実的になる。が、リーチをかければ上田からの直撃は叶わないだろう。まだゴールは定まらないか? 次巡――

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なんとp5がアンコに! タンヤオ・三暗刻・ドラ3の跳満が見えている。これならリーチをかける必要もない。

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そして12巡目、ようやく水口に一発逆転のテンパイが入った。m7は場に1枚切れているが、上田が捨てている牌でもあることから、m7単騎を選択。

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終盤に差し掛かったところで、上田が形式テンパイを入れた。前述の通り、麻生がアガリを拾う可能性は決して高くはないが、万が一に備えたといったところか。

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そしていよいよ水口の最後のツモ番。待ち牌は、s1 s4が全見えの中で持ってきたs2になっていた。そっとツモ山に手を伸ばし、牌の顔を確認すると――

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p6――。それは、実質終戦の鐘だった。

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2回戦終了時
紙一重の攻防を制し、準決勝進出を果たしたのは、麻生ゆりと上田唯の2名。敗者復活戦とも呼べる熾烈なサバイバルマッチは、ついに集結した。残るは準決勝。そして決勝戦。プリンセス候補は、いよいよ3分の1にまで絞られた。

文:新井等(スリアロ九号機)

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